浜松医科大学医学部付属病院

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〒431-3192 静岡県浜松市東区半田山一丁目20番1号

 

常勤の整形外科医が21名在籍する大学病院です。整形外科で年間1000件以上の手術を行なっています。主な膝関節関連の手術は、TKA 32件、UKA 5件、骨切り 8件、ACL再建 13件、半月板手術 8件を2023年に行いました。TKA、UKAにおいてはナビゲーションを使用した手技を用い、術中の動態解析による研究などを発表しています。また、コホート研究を行っており、住民健診における解析結果を学会で発表し、英語論文の作成もしております。

 

よろしいですか?

 

Q1:「歩行解析計 iMU One」の導入経緯、決め手を教えてください。

変形性膝関節症の診療においては単純X線像が客観的に進行度を評価する方法として一般的ですが、立位での静止画像であり、症状とは必ずしも一致しないことがあると言われ、我々も外来で実感しておりました。特に、動的な要素の一つである歩行時の「スラスト」と呼ばれる現象についての評価がこれまでは困難でした。「歩行解析計 iMU One」は、この「スラスト」を定性的でなく、「Knee AdductionMoment (KAM)」という指標で数値化することができるため、診療に有益であると考え導入しました。

 

Q2:普段の診療で、どのように取り入れていますか?

従来のKAMの測定方法であるモーションキャプチャ、床反力計という装置を使用したものは非常に精度のあるものですが、装置が非常に高額で、また、病院への導入はスペース的にも困難でした。さらに、解析時間が非常に長くかかることも問題でしたが、「歩行解析計 iMU One」は金額面でも魅力的で、機械を着けて5mほど歩くだけで測定できるため、場所も取りません。解析も短時間でできるため、普段の外来診療時にも使用可能です。また、変形性膝関節症患者さんに単純X線検査とともに用いることで、病状をalignmentと動的要因の二つの側面から評価し、患者さんに説明することができるといった利点があると考えています。

 

Q3:患者様の反応はいかがですか?

まだ導入初期段階でありますが、KAMが数値で示されるので、特に左右差がある患者さんにおいて、悪い方の膝の状態が分かりやすいというお話を伺います。また、足底装具の使用によって、装着前における歩行時とはKAM値が変化する患者さんが多く、効果を実感していただけていると思います。

 

Q4:導入前後で変化したことはありますか?

「歩行解析計 iMU One」の導入で、保存的治療への考えが医療者側と患者側ともに深まったと思います。例えば、歩容の指導や筋力訓練の前後で比較した評価ができるほか、足底装具の処方において、KAMという数値化されたデータで効果を客観的にも確認することができるようになりました。

 

Q5:今後、さらにどのように活用していきたいと考えていますか?

先ほどの足底装具において、従来は画一的に足底装具の外側を挙上させていましたが、患者さんによっては高さを調整するといった対処を行うべきかの判断に今後使えるのではないかと考えています。
手術治療においては、半月板修復、高位脛骨骨切り術などにおいて、その効果をKAMの変化という観点でも評価していきたいと考えています。
また、住民健診に取り入れることも検討しています。変形性関節症の有症状となる前でのKAMを測定することにより、より早期の治療介入が可能になるのではないかと期待しています。